
がん患者のための施設「Maggie’s」、認知症患者にアートを教える教室「Drawing Life in UK」、住民が主体で活動している総合コミュニティの施設「Bromley by Bow Centre」の見学、研修にお邪魔しました。医療の分野で、普段自分がなかなか行かないところに同行し、刺激的な視察同行でした。
「Maggie’s」と「Bromley by Bow Centre」はそれぞれが素晴らしい施設だったのですが、共通しているのが居心地の良い空間になっていることでした。太陽の光を存分に取り込んで室内はとても明るく、さらに、天井も高く開放的。随所に木材が使用されていて木のぬくもりを感じることができ、全体的に柔らかいカラフルなカラーを使っているのが印象的でした。医療の処方だけでなく、環境もとても重要な要素の一つだと実感しました。

「Drawing Life in UK」の認知症患者のためのアートも大変興味深かったです。絵画モデルさんがポージングをとり、みんな同じものを描くのですが、参加者みんな思いおもいに描いていました。アートを使った表現はどれも正解はなく失敗はありません。寧ろ、そんな表現の仕方もあるのかという新しい発見もあります。違うポーズを同じ紙に描いたり、講師が途中で色を追加して表現意欲をあげたりと工夫していました。アートと聞くと、デザインとはまた違った世界で高尚なイメージがありましたが、そんなことはなく身近な存在でした。

ところで、歴史的な建物と近代的な建物が混在しているロンドン市内ですが、それぞれが排他的ではなく、むしろ調和しているように感じました。英国国教会の教会の荘厳なゴシック建築の隣には、ガラス張りの近未来的なビルがそびえ立っていても違和感がないのは何故なんでしょう?

さらに、市内にたくさんの博物館があり、多すぎて全て周りきれないほど。そして、そのほとんどが無料で公開しており、寄付で運営されているようでした。イギリスでは博物館は身近な存在なんですね。ちなみに今回は、大英博物館、テートモダン、ナショナルギャラリー、ウェルカムコレクションを周ることができました。建物さえも日本にはない壮観さとダイナミックさで圧倒されてしまいます。
